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ウラジオストク(太平洋艦隊編、その2)

太平洋艦隊博物館のゲートの先は、階段になっている。

降りると、大砲や、小型潜水艇(だろうか)が、博物館をぐるりと取り囲むように展示してある。いきなり大迫力である。

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ほう立派な、と眺めていると、厳しい表情の長身の老人が近づいてきた。

もしや休館日か、と身構えつつ「ズトラーストビチェ」と挨拶すると、“Chinese? Korean?”と聞いてくる。「ジャパニーズ」と答えると、少し考えた後に、「コニチワ、アリガートウ」と言って自慢げである。よく見ると目の端に微笑らしきものが浮かんでいる。

丁寧に博物館の入口まで案内し、”Enjoy!”と言って去っていった。

 

怖い人かと思ったら普通にいい人。もはやお馴染みのパターンである。顔が怖いだけに、親切にされるとやたらと感激する。

それにしても、ロシアのオッサンというのは、なぜ皆あんなに顔が怖いのか。若者は、皆つるりとした紅顔の美少年なのに、それ以外はロシアンマフィアである。中間がいない。美少年とロシアンマフィアの間がミッシングリンク

 

さて。

入口の重い扉を開けると、中にいた警備員のオッサンが上を指さし「セカンドフロア」と言う。

言われるがままに階段を上ると、チケット売り場らしき場所には人がいない。あたりをぐるりと回っても見つからないので、再び降りて先ほどのオッサンに聞いてみることにした。

ロシア語ができないので、Google翻訳のお出ましである。

「チケットを買いたいのですが、売り場に誰もいません」

スマホをオッサンに見せると、少し考えて、別のオッサンBを連れてきた。オッサンBは何やら陽気な雰囲気である。

 

オッサンBに連れられて2階に上がると、チケット売り場をスルーして展示室に入り、ここを見てろと言う。チケットはいらないのか、と聞いても展示の説明をするだけで、全く会話が噛み合わない。

説明といっても、私が全くロシア語を解さないので、写真を指さしては「これは誰」などと言うだけである。ノーリアクションも申し訳ないので、説明を受けるたびに、言われた名前を復唱しておいた。すると、オッサンBは「そうだ」と言わんばかりに真剣に頷く。親切な人なのは間違いない。

そのうち、日本のどこから来た、と聞くので、(神奈川と言ってもわからんだろう)と、「ヨコハマ」と答える。するとオッサンB、「カナガーワ!」と返してくる。まさかの返答。なかなかやり手である。

 

そんなやりとりを数分続けて、「とにかくここを見てろ」と言ってオッサンBは去っていった。

一人になり、目的の日露戦争の展示をじっくり見る。

海戦図だとか、プロパガンダポスターと思しき日本艦隊がボッコボコにやられてる絵など、説明文は読めないものの、なかなか面白い。

東郷平八郎や戦艦三笠の写真は見つけたが、クニャージ・スヴォーロフの写真は見つけられなかった。ないはずはないので、おそらく見落としたのだろう。

 

日露戦争の展示を見終わると満足しつつ、隣接した第一次世界大戦の展示室に入った。

フーン、と見ていると、先ほどのオッサンBと、アジア人女性が入ってきた。彼女はロシア語が堪能なようだ。見るからに日本人らしき風貌だったが、果たしてそうであった。

親切なオッサンBは、私を呼ぶと、彼女にジャパニーズ、カナガーワと紹介した。同様に、彼女はジャパニーズ、ヒロシーマとのことであった。しばし日本人的曖昧スマイルで挨拶。

その後、チケットを買えたか彼女に聞いてみたが、やはり「展示の説明ばかりされて全然答えてくれない」らしい。

ロシア語のできる彼女ですら、その有様であれば、何か複雑な事情があるのだろう。

 

彼女にロシア語が通じるのが嬉しいらしく、オッサンBはかなり熱心に説明している。一瞬、混ぜてもらって彼女に通訳してもらおうかとも思ったが、若干腹も減ってきたので、一人で第一次大戦の展示を後にした。

 

そのまま第二次世界大戦の展示室に入ろうとして、チケット売り場に老婆がいることに気づいた。(もしや、単にチケット係が遅刻してただけではあるまいな。)

上品な雰囲気の老婆に100ルーブル払い、これで一安心である。

それにしても、ロシアのお年寄りは元気である。

 

不勉強なもので、第二次世界大戦ロシア海軍というのがいまいちピンと来ていなかったのだが、展示を見てもよくわからなかった。

しかし、ドイツが嫌いなことだけはよくわかった。

 

先の大戦の展示を見終わると、3階に上がり、「現代のロシア海軍と世界との交流」のような展示を見る。

我らが海自の制服や、なぜか兜が展示されていると思ったら、アフリカの民芸品や、北朝鮮の壺だの金日成肖像画だの、何やらカオスな展示である。

他に、ロシアの現代の潜水服?のような展示もあったが、よくわからなかった。

 

最後がやや消化不良ではあったが(私が無知なことも原因だろうが)、存分に堪能して博物館を後にした。

 

なかなか興味深い博物館であった。説明やレイアウトなど、丁寧に人の手で作り込んだ感じがする。

もう少しロシアの歴史を勉強してから再訪したい。

 

パーティーロック編に続く。

 

おまけ。

展示してあったロシア領土の地図。

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国後択捉がバッチリ入ってますぞ!