インド国歌の覚え方(楽譜、動画あり)
来年、デリーに少しだけ寄ることになった。
観光できるほどの時間はないので、映画館にでも行こうかと思っている。
インドの映画館では、上映前に全員起立での国歌斉唱が法律で定められているらしい。おそらく外国人観光客は立ってさえいれば問題ないとは思うが、やはり現地人に負けじと熱唱し、一体感を得たいところである。
しかし。しかしなのである。
インド国歌は非常に難しい。メロディが独特で予想を裏切る展開を見せることに加え、歌詞はこれまで触れたことのない言語で書かれている。唯一、「ジャヤヘー」を連呼するクライマックスだけは親しみやすいかもしれない。
そんなインド国歌を、血とカレーを吐く努力でマスターしたので、需要があるのか甚だ疑問だが、覚えるためのコツをまとめたので書き留めたい。
ただし、物事を覚えるための1番のコツは「覚えようとすること」であるので、これを読んだら魔法のように覚えられるものではということを先に断っておく。
それでは始めよう。
インド国歌の覚え方
Step 1 メロディを覚えよう
歌詞は(なぜか)ベンガル語で書かれているため、我々日本人には呪文にしか聞こえない。そのため、先にメロディとリズムを覚えてから歌詞を覚えた方がスムーズかと思う。
下の動画は歌詞も表示されているが、まずはメロディだけを覚えればオーケー。ただし、ここで言葉の響きをなんとなく掴んでおくと、後で歌詞を覚えるのが楽になる。また、覚えようとしなくても「ジャヤヘー」だけは耳に残ると思う。
もし楽譜が読めるのであれば、以下の楽譜を見ながら練習すると非常にわかりやすい。
これは、Wikipedia英語版から持ってきたものである。三段目の1〜6小節は1オクターブ上げて歌うこと。
ちなみに楽譜の1小節目に当たる部分の最初の2音は、上の動画ではなぜかメロディが違う。正しくは、3音目と同じ音を1、2音目も繰り返す。
Step 2 歌詞を覚えよう(覚えやすい部分)
メロディを覚えたら、いよいよ歌詞である。
とはいえ、そのまま丸暗記するのは困難なので、まずは大まかな構成を掴み、覚えやすい部分から覚えるのが効率的だ。
ここで、インド国歌にはロングバージョンと、そこから一部省略したショートバージョンの2種類がある。
ロングバージョンの歌詞は、ざっくり言えば以下のような構成になっている。
1. タイトル名+α+「ジャヤヘー」
2. 繰り返す部分
4. 固有名詞がたくさん出てくる部分
5. ベンガル語で何やら言っている部分
6. タイトル名の変化形+β+「ジャヤヘー」
2’. 繰り返す部分(メロディは異なる)
7. 「ジャヤヘー」を繰り返す部分
この中で、「5. ベンガル語で何やら言っている部分」以外は、実はそれほど難しくはない。タイトルである「ジャナガナマナ」と、いくつかの固有名詞、そして「ジャヤヘー」さえ覚えれば何とかなる。
そうすると、丸暗記が必要なのは5だけになる。こればっかりはゴリゴリ覚えるしかないのだが、いきなり全体を覚えようとするよりかは楽だと思う。
さて、一方のショートバージョンは、ロングバージョンのうち、以下の部分だけを抜き出したものである。
1. タイトル+α+「ジャヤヘー」
2. 繰り返す部分
7. 「ジャヤヘー」を繰り返す部分
ここには問題の5が含まれていないので簡単だ。
実際、映画館で歌われるのはロングバージョンらしいのだが、まあ同僚のインド人に擦り寄るくらいであれば、ショートバージョンでも十分だろう。
それでは、上に書いた構成とともに、歌詞(ローマ字、カタカナ)と、日本語訳を下に書く。
1〜4、6、2'の部分は、タイトルや固有名詞が、ベンガル語ではどのような言葉になっているかを意識すれば、すんなり覚えられると思う。7はまあ余裕だな。
固有名詞には、対応するWikipediaページへのリンクを貼っておいた。これを読んで理解すれば、あと覚えなければならないのは、単語が出てくる順番だけである。
緑文字はタイトル名とその変化形、ジャヤヘー部分は太字、固有名詞は赤文字で書いてある。
(ところで、赤色の字を「赤字」と書くのが気持ち悪いのは私だけですか)
1. タイトル名+α+「ジャヤヘー」
Jana-gana-mana-adhinayaka jaya he
ジャナガナマナアディナーヤカジャヤヘー
訳:汝はすべての民の心の支配者
2. 繰り返す部分(※)
※Bharata-bhagya-vidhata
バーラタバーギャヴィダーダ
訳:インド(ベンガル語でバーラタ)の運命の裁定者
----------以下、ショートバージョンでは省略----------
4. 固有名詞がたくさん出てくる部分
Panjaba-Sindhu-Gujarata-Maratha
パンジャーバシンドゥグジャラータマラーター
訳:パンジャーブ、シンド、グジャラート、マラーター(の民の心を)
Dravida-Utkala-Banga
ドラービダウトカラバンガー
訳:ドラビダ(南インドのこと)、ウトカラ(現在のオリッサ州、かつてウトカラ王国があったことから、ウトカラとも呼ばれる)、ベンガル(ベンガルはベンガル語でバンガ)
Vindhya-Himachala-Yamuna-Ganga
ヴィンジャヒマーチャラヤーマナガンガ
訳:ヴィンディヤ山脈やヒマラヤ山脈(に響き)ヤムナー川とガンジス川(の奏でを混ぜ)
※この部分を地図で確認するとインド(+シレッとパキスタン)の国土を北から反時計回りに読み上げているようだ。 (そのうち画像を追加する予定)
5. ベンガル語で何やら言っている部分(とりあえず覚えなくて良い)
uchchala-jaladhi-taranga
ウッチャラジャラディタランガー
訳:(インド洋の)波によって歌われる。
Tava Subha name jage, tave subha asisa mage, gahe tava jaya-gatha.
タヴァスバナーメジャーゲ、タベスバアーシサマーゲー、ガーヘータバジャヤガーター
訳:彼らは汝の祝福を求め祈り、汝の喜びを歌う。
6. タイトル名の変化形+β+「ジャヤヘー」
Jana-gana-mangala-dayaka jaya he
ジャナガナマンガラダーヤカジャヤヘー
訳:人々全ての保護は汝の手の中にあり
2’. 繰り返す部分(メロディは異なる)
Bharata(インド)-bhagya-vidhata.
バーラタバーギャビダーダ
訳:インド(ベンガル語でバーラタ)の運命の裁定者
----------以上、ショートバージョンでは省略----------
7. 「ジャヤヘー」を繰り返す部分
Jaya he, Jaya he, Jaya he, jaya jaya jaya jaya he.
ジャヤヘー、ジャヤヘー、ジャヤヘー、ジャヤジャヤジャヤジャヤヘー
訳:勝利を、勝利を、勝利を、汝に勝利を
Step 3 歌詞を覚えよう(難しい部分)
以上を覚えたら、5を覚えよう。
これに関しては、先にも述べた通り丸暗記するしかない・・・。
それができれば苦労しねえよ馬鹿野郎、という声が聞こえてきそうだ。しかし、語呂合わせを作ろうとしても、あまりに日本語と響きが違いすぎてどうにもならなかったのだ(言い訳)。 この点は、今後の課題としたい。
上の動画に合わせて、口が覚えるまで何度も練習しよう。
ここにたどり着くまでに、他の部分は覚えているので、最初よりも楽に歌えるようになっていると思う。
そして最後に自己保身。
この記事は、Wikipedia(日本語版、英語版)、Google翻訳、対訳ページを参考にして書いている。
私自身は、インドといえばカレーとナンくらいしか知らない(つまりほとんど何も知らない)ので、間違いがあるかもしれないことはご承知おきいただければ幸い。
おまけ
ベンガル語の歌詞をGoogle翻訳に突っ込むと、何やらぶっ飛んだ訳が出てきた。
人 - キャプテンジョイOインド!
パンジャブ・シンドゥー・グジャラート・マラタ・ドレイヴィド・ウッカル・ベンガル
ビンドヤ・ヒマチャル・ジャムナ・ガンガウジャルジャルジャティットランガ
ハッピーの名前で恐ろしい、
ゲ・タタ・ジャヤガタ
勝利への人々の参加はああです!
喜びO、喜びO、喜びO、喜びJoy Joy Joy O
キャプテンジョイ!Oh!インド!