日日是女子日

細かすぎて役に立たない旅行ガイド

ドイツ編(ベルリン 、ケルン)

ドイツ編の続き。

 

まずはカフェで朝食を

ベルリン2日目の朝は、ホテル近くの「アインシュタインカフェ」にて。Breakfast of Viennaセット(9.5ユーロ)にカフェ・オ・レを追加。

「ウィーンの朝食」セットには、半熟ゆで卵2個、山盛りのパン、ジャム(苺とアプリコット)、バターがついてくる。中でもゆで卵が出色であった。半熟卵2個をグラスに2個重ねて詰め、上から猫草様の謎の植物の小口切りを散らしてある。シンプルに塩胡椒でいただいたのだが、トロトロの黄身とプルプルの白身に謎の植物の青臭さがアクセントとなり、「卵の本気」を見る思いである。パンやバターはヨーロッパなりに旨い。

 

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パンが山盛り。ベルリンでウィーンの朝食とはこれいかに。

 

カフェから出ると、朝から「ビクトリー!」と雄叫びをあげるガチムチの男たちに遭遇した。贔屓のサッカーチームが優勝でもしたのか知らないが、朝から景気の良い輩だ。彼らの影にはきっと朝から負けて悔しがる連中もいるに違いない。

 

フンボルト博物館へ

朝食の後は路面電車フンボルト博物館に向かった。フンボルトペンギンフンボルト海流のフンボルトである。

 

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フンボルト博物館外観。けっこう古い。

 

入るとまず、恐竜の化石が目を引く。恐竜ガチキッズがたくさん群がっていた。

 

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これ以外にもたくさんあった。ものすごい大きい。

 

始祖鳥の化石も有名である。こんなグシャッと潰れて干からびた痕跡がなぜ太古の鳥の化石だとわかったのだろう。もちろん疑っているわけではないのだが、2次元に押し込められた生物の骨は、鳥と言われれば鳥に見えるが、トカゲと言われればトカゲにも見える。まあ、素人には全くわからない奥深い世界があるのだろう(ざっくり)。

 

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始祖鳥。蝶のように舞い、蜂のように刺す。

 

フンボルト博物館で最も感動したのは、剥製の出来の良さである。毛皮は艶やかで、ポージングも生き生きとしており、今にもガラスケースを蹴り破って飛び出してきそうなほどであった。

剥製を作るにおいてもドイッチュマイスターの腕は確かなのである。


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ヒゲペンギン 。まるで空中を泳いでいるかのよう。かわいい!

 

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悲しげな目のコアラ。尻にオジサンを映し出し、哀愁を漂わせている。


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獲物を貪るキツネ。なんで動かないんだっけ?と混乱するほどの高いクオリティ。


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オウムに飛びつくヒョウ。時間をそのまま切り取ってきたかのような躍動感。

 

この素晴らしさは、他の国のネコ科の剥製と比較するのがわかりやすいだろう。

フンボルト博物館のライオンの剥製は、威風堂々としつつダルそうな、まさにテレビの動物番組で見るライオンそのものである。ジャガーもしなやかで迫力がある。


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フンボルト博物館のライオンの剥製

 

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模様的に多分ジャガー。ヒョウとかチーターではなく。

 

アメリカの剥製はディズニー臭いというか、エンタメ寄りの仕上がり。嘘くさい動きで、何やら景気の良いことを話し出しそうである。

 

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ニューヨーク自然史博物館の虎の剥製。

 

一方ロシアは、いつ作られたのかは知らないが、どことなくソ連品質である。なんとなく、虎など見たこともない同志が偉大なる指導者の計画に従い見様見真似で作ったという感じがする。

 

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モスクワ自然史博物館の虎の剥製。


その他、フンボルト博物館ではペンちゃんが無残にぶった斬られていたり、


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なんと酷いことを!!(ペンギンは実は足が長いんです的なアレかな?)

 

人骨模型の手足が日本では見かけないレベルで長かったり、


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スタイル抜群。

 

ホルマリン漬けがドイツ式に埃一つないガラス棚に整然と並んでいたり、


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こんなところでもドイツの5Sは健在。

 

中でも魚のホルマリン漬けが美味しそうだったり、


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出国以来、全然魚食べてなかったんで・・・。

 

コウテイペンギンの赤ちゃんの剥製が可愛すぎたり(でも殺すのは可哀そう)、まあ色々楽しい博物館である。


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かわいそうかわいい!!!

 

そして西側百貨店へ

その後、西側百貨店といういかにもな名を持つKDW(Kaufhaus des Westens)前まで移動。屋台でカリーブルストとビールを摂取した後、KDW最上階にあるカフェテリアで焼いた肉と芋のスープを摂取した。夫はホワイトアスパラを食べたのだが、提供の列に並んでいた際、同じく順番待ちの現地のおじさんに「ウム、貴君も良い選択である!」と褒められたらしい。カフェテリアの一階下が食料品フロアとなっており、売っていた肉が見るからに質が良く、とてもおいしそうだった。

 

その後チェックポイントチャーリーを通りかかり、星条旗を持ったコスプレイヤーを遠巻きに見る。遠巻きに、というのは近づいて写真を撮ったら金せびられそうだから。

 

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星条旗を持っているけど、きっとドイツ人。

 

その足でドイツ歴史博物館へ。

ここではドイツの歴史に沿って様々な展示があったのだが、途中で飽きてしまい、展示をスキップしようと順路を逆行したら係員に注意された。順路といっても壁に控えめに矢印が書いてあるだけの広々とした空間を逆方向に歩いただけである。ドイツ人がルールに厳しいというのはどうも本当らしい。まもなく閉館時間になり、一番興味のあった近現代コーナーは大急ぎで通り過ぎなければならなかった。

 

DDR博物館

ドイツ歴史博物館の閉館後もまだ時間はあったため、DDR博物館に入った。ご存知だろうが、DDRとはドイツ民主共和国(Deutsche Demokratische Republik)の略で、いわゆる旧東ドイツである。

ここでは旧東ドイツの日用品や当時のニュースがキャッチーな感じでまとまっており、当時の一般家庭の部屋の再現や秘密警察の盗聴システムなどが見られる。それほど反共のニオイは強くなく「東ってこんなんだったんだよねアハハハ」的な軽いノリなのが意外であった。中でも「東ドイツあるあるクイズ」らしき展示で年配の方々が異様に盛り上がっていたのだが、何がそんなにおもしろいのかサッパリわからなかった。

売店で絵葉書をゲットしてる外に出た。郵便局にある切手の自販機で切手を貼り、投函。この自販機でなかなか苦労したのだが、どうやって解決したのか覚えていない。何ユーロ札しか使えないとか、そんなようなものだった気がする。


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ソ連の宇宙飛行士(ガガーリンっぽい)を出迎えるベルリンのクマちゃん

 

そこからテレビ塔、世界時計などを見てホテルに戻った。路上では、嬉しそうに缶ビールを飲んでいるオジサンが散見された。ドイツは路上飲酒は違法じゃないらしい。それにしてもドイツのビール好きは本物だ。ビールを飲んでいる人はみんなニコニコしている。飲酒に福祉のニオイがないのは幸せな証拠である。


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テレビ塔。なんとなくUFO呼べそう。


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世界時計。東京よりもソウルよりも平壌が上に書かれているあたりはアレだな。

 

さーて今日の夜ごはんは?

この日の夜は駅前で買ってきたケバブである。中の肉はナニモノかのすり身を固めて焼いてスライスした正真正銘の謎肉だった。ボリュームがあってコレはコレで旨かったが、アレは何肉だったんだろう。鳥と何かを混ぜたような味ではあったが。

 

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謎肉ケバブ。悔しいことに美味い。

 

翌日はケルンに向かいますよ。

翌朝、インターシティエクスプレスでケルンに向かう。駅で朝食のパンを買いたかったのだが、パン屋は長蛇の列であり、かわりに併設のお菓子屋さんでケーキを買った。結果としてケーキを入手してウッキウキである。購入したのはアプフェルクーヒェン、イチゴのタルト、エクレアのようなサクサクのパイの三種類。店員は注文を聞くとそれらをボール紙に手際よく乗せていき、油紙でくるくると包んだ。日本で見られる紙箱より持ちづらいが、ゴミが少なくて良い。

 

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パンがなければお菓子を食べれば良いじゃない!

 

この持ちづらい紙包を捧げ持ち、潰したり落としたりしないよう注意してプラットフォームに上ると、どうも雰囲気がおかしい(お菓子だけに)。

なんと我々が乗るはずだった最新鋭のICEは、故障だかなんだかで超オンボロの機材に変更になっていたのだ。年季の入ったシートはクッションが潰れてベコベコになっており、トイレもちょっとここに書けないくらい汚かった。残念だ。この日こそは食堂車でビールを飲もうと思っていたのに。ションボリしてしまい、あんなにウッキウキしたケーキでもテンションは戻らなかった。ケーキの写真も撮り忘れた。美味しかったのに!

その時、元気に「ハロー!」と熊のような大男が現れた。乗務員がHARIBOをサービスで配っているのだ。「オンボロでごめんね、みんな大好きHARIBOをあげるよ!」と言わんばかりに籠のHARIBOを勧められたが、それまでの自分のテンションとの差について行けずに混乱し、つい断ってしまった。すると「せっかくのHARIBOなのにいらないのかい?」とでも言いたげな悲しそうな表情で熊男は去って行った。

 

気を取り直してケルン観光

不貞寝して起きるとそこはケルンであった。

ケルン大聖堂は駅前にあってお手軽である。入場無料。外壁の一部補修中だったのだが、雰囲気を壊さないように補修中部分には実際のケルン大聖堂外壁を再現した絵のついたネットがかかっていた。今回の旅で何度か見かけたが、これはけっこう良いと思う。せっかく訪れた観光名所が補修中だとガッカリするが、これだと目を細めれば補修中であることも気にならない。

 

これがケルン大聖堂の内部である。天井が非常に高く、それがえもいえぬ神々しい空間を作り出している。

 

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すごい建築技術。

 

そして、ケルンといえばケルシュである。ケルシュとはケルンで作られる軽いビールで、日本のワンコそばのようにおかわりを前提として飲む。おつまみに「メット」という生の豚肉(!)のミンチを乗せたトーストや、再びシュニッツェル等をいただく。


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ケルシュ。苦味が少なくアルコールも薄いので、カパカパ飲めてしまう。


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手で隠しているのは、写真を撮る前に齧り付いてしまったから。

 

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シュニッツェル。ここでもやはり肉と芋。


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ケルン名物、「天と地」という仰々しい名の芋と肉。黒いのは血のソーセージ。

 

すっかり満腹になった我々は、腹ごなしに散歩のつもりが何故かデザートにカフェでケーキを食べ、罪悪感には気づかないフリをしてベルリン名物「ベルリナー」を購入した(ケルンで)。ベルリナーはジャムの入った丸いドーナツに砂糖をビッシリとまぶしたもので、甘いもの耐性の低い方々は一口で気が遠くなるであろう。私は甘党なので美味しくいただいた。


そしてタリスでパリへ。

赤い高速鉄道、タリスで向かうのは、いよいよ最終目的地のパリである。たまたま隣の席には日本人家族が座っていたのだが、DQNというかモンスターというか、ものすごい地雷臭が漂っていたので目を合わせないようにした。詳細は書かないが、「日本人のマナーは素晴らしい」という海外の反応を騙った自己満足をよく聞く一方、「マナーの悪い日本人」というのも本当にたくさんいるのである。

 

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次回、最終回パリ編へと続く!

 

 

おまけ。

それにしてもドイツで思ったのは「浦沢直樹って絵うまいんだな。」ということである。なんのことかわからない方々もいるだろうから説明すると、20年ほど前、浦沢氏による『Monster』という漫画があった。この漫画にはとにかくドイツ人がたくさん出てくるのだが、ドイツの人々は皆この登場人物によく似ていた。人気漫画家に対して失礼だろうが、やっぱすげえ絵うまいんだな。