日日是女子日

細かすぎて役に立たない旅行ガイド

サンクトペテルブルク(エルミタージュ美術館、クンストカメラ)

ロシア編の続き。

 

2019年4月30日。この日は朝からエルミタージュ美術館である。

エルミタージュ美術館は、かつてロマノフ王朝の冬宮殿であった絢爛たる建物である。そら豆色の外壁がかわいい。

先の大戦時、この建物も灰色に塗られたのだが、終戦後、戦争からの開放感を象徴する明るいグリーンに塗り替えられたらしい。赤じゃなくてよかったな。

 

エルミタージュの正面にある宮殿広場では、対独戦勝記念日を5月8日に控え「勝利の日」の真っ赤な横断幕が誇らしげに掲げられていた。共産主義ドヤ!である。

 

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«С днём победы!» 勝利の日おめでとう!と書かれた赤い布。お約束の星印とともに。

 

エルミタージュは、真っ正直に入場しようとすると、チケット売り場に並ぶだけで1時間は軽く過ぎるといふ。

それを恐れた我々はあらかじめネットでeチケットを購入していた。これでスイスイ入場できるはずである。ホテルから10分ちょっと歩き、開館時間20分前に到着した。

 

正面入口を横に外れ、美術館向かって右の専用レーンに着くと、開館前だというのに既に100人ほど並んでいた。それだけでもエルミタージュ恐るべしなのだが、さらに驚くべきことに、ざっくり見積もってその約半分が日本人であった。2列で並ぶ行列で、おおよそ1組おきに日本人と思しき、大人しい清潔なアジア人がいるのである。

海外でこんなに多くの同胞を見たのは始めてだ。さすがに公式10連休は伊達じゃない。新天皇陛下万歳!と、対独戦勝記念日直前のロシアで思う。敬意を評して日の丸を振りたいところだ。旗を持ち合わせてなくても、白いメモ紙と赤ペンさえあれば国旗一丁上がりなのが日の丸の良いところである。(振らなかったよ。もちろん)

 

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そら豆色のエルミタージュ。eチケット専用レーンは写真右奥。

 

肌寒い中待ち、開館時間を過ぎる頃にはじわじわと列が進み始めたものの、結局中に入るまでに全部で40、50分はかかっただろうか。

ロシアお馴染みの二重扉をくぐり空港にあるような立派な金属探知機を抜けると、そこはクローク。コート掛けのフックがズラリと並ぶ。

クロークの老人にスプリングコートを預けるが、コートの襟口に掛けるためのフープがなかったために、クロークの老人に困惑した顔をされた。老人は矯めつ眇めつコートを眺め、なんとか工夫してフックに掛けることに成功した。(まあフードをフックに引っ掛けただけなのだが。)

 

 

さあ。

コートを預けたら、めくるめく美術鑑賞のはじまりはじまり。

 

 

と、展示品について大いに語りたいところだが、ワタクシもともと美術リテラシーが低い上に、宗教画宗教画に宗教画、時々肖像画みたいな試される美術館感がすごいので、ロマノフ家には申し訳ないがすぐに飽きてしまった。基本的に「ロシア帝国金持ってんな」的な下世話な好奇心だけで乗り切ったようなものである。

火の車の財政の中、民の苦しい生活を顧みず、豪奢な生活を続けていた的な何かをビンビン感じたかも!(ふわっ)そりゃ革命起きるかも!(ふわふわっ)

 

・・・あんまり語ると教養がないのがバレるのでこの辺にしておく。

 

下に写真を貼っておく。もっと豪華な部屋や有名な絵画もあった気がするのだが、なぜかこれしかiPhoneに収めていなかった。

 

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素敵書庫。吹き抜けバルコニーの2階部分も書庫。本好き垂涎の萌え空間。


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ラピュタにあれば、制服さんたちが無理やり剥がしそうな金ピカ具合。そりゃ革命起きるわ。


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高校の美術倉庫を立派にしたような。美大受験経験者は懐かしいんじゃないかな?(適当)


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リアルな少年と、なんとも言えない顔のイルカ?のギャップを楽しむ石像。

 

日本人の感覚でいうと、トイレが思ったよりも混んでないのが欧米だな。アジア人は膀胱が小さいので、例えば日本の博物館に同じだけ人がいたら、きっと絶望的な行列ができただろう。

 

他に一つだけ気になったのが、美術館の割に窓から燦々と直射日光が当たっていることである。色褪せが本気で心配になるレベルだが、不思議と展示品の色は鮮やかなままである。まさかUVカットガラス・・・。否、単に緯度が高いために問題にならないだけだろう。

 

んもう、好きな人は丸一日いられるボリュームの美術館だが、午前中だけで胸焼けしたので出ることにした。

 

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ミュージアムショップでかわいい絵葉書を購入。猫軍人。

 

帰りのクロークでは、老人になぜか私とは違うコートを渡されたので「エータニマイェー(これは私のものではありません)」と適当に言ったら通じた。だったこれだけだが、正直ちょっと嬉しかった。

 

 

無事コートを取り戻して外に出ると、立派な戦車が鎮座していた。戦勝記念日のイベントだろうか。

iPhone没収されるかな、とドキドキしながら写真を撮ったが、目が合っても軍人さんはスルー。シメシメと遠慮なく撮りまくった。

 

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これはソ連軍の戦車か?


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戦車などがズラーリ。レッドベレーは特殊部隊である。

 

 

さて、いいもん見せてもらったところで、ちょいと腹もペコちゃんだし、道端のスタローヴァヤでお昼にした。例によって写真はない。ビールと間違えてノンアルコールビールを買ってしまい、チッと舌打ち。なんか安いと思ったんだよな。

ノンアルコールビールを飲みながら絵葉書を書き、郵便局に向かったのだが、これは話が長くなるので別記事にする。

 

その後、青銅の騎士像を見に行くと、どこかから微かに太鼓の音が聞こえてきた。宮殿広場にあった戦車は関係あるのだろうか。

 

さらに歩き、ロストラリナヤ・コロンナを右手に見ながらドヴォルツォヴィ・モストを渡り、クンストカメラに向かった(もう何がなんだか)。本当はペトロパブロフスク要塞に行きたかったのだが、時間がないので諦めた。

ちなみに、ロストラリナヤ・コロンナは気の多い太陽の塔のような塔である。写真を撮り忘れたので、気になる方はググってくださいますよう。

 

クンストカメラは、「希少なものの陳列所」という意味の博物館で、胎児のホルマリン漬けがズラリと並んでいたり、様々な民族(主に有色人種)の蝋人形が展示してあったりする。日本(っていうか江戸)の蝋人形は、ハレとケをごちゃ混ぜにして無理やり臨場感を持たせたようなもので、何やら眉間のあたりがモヤモヤしたが、興味深いといえば興味深い。

悪意のある言い方をするが、白色人種の皆様で大盛況であった。

 

楽しいぞロシア!!

 

続く。