日日是女子日

細かすぎて役に立たない旅行ガイド

GW旅行(モスクワ、シェレメチェボ空港国内線Ruvlevラウンジ)

インド編からの続き。

 

インド人を満載したアエロフロート機は、パキスタン上空を大きく迂回し、モスクワへと飛んだ。印パ情勢の悪化により、パキスタンが民間機に対し領空内の飛行を禁止したためである。

飛行時間が多少長くはなるが、こればかりは仕方ない。仕方がないのは理解する。

 

さて、アエロフロートといえば美人CAである。

CGのようなロシア美女がニコリともせず、アンドロイドのごとく正確さで機内食を配り歩くディストピア感が堪らない(誇張)。色々と中二SFな妄想が捗る。

 

うっとり眺めていると、ふとインド発便の方が、日本便よりもCAにヤリ手BBAっぽいCAが多いことに気づく。

きっと手強いインド人をうまく往なす必要があるのだろう、と悪意のある推測をしていたが、実際はインド人は皆おとなしい。CAの言いつけをよく聞き、シートベルト着用サインが消えても、自由に動き回ったり騒いだりしない。

やり手BBAが多いのはたまたまか、と認識を改める頃、モスクワ、シェレメチェボ空港に着陸した。

 

タラップが接続され、ドアが開くと、ビジネスクラスのお客様から降機を開始する。

タラップの前には、「BUSINESSES 」と書かれた特別なバスがビジネスクラスのお客様を待っており、エコノミークラスの客が一緒に降機ないように、CAが通路の先頭でガードする。エコノミークラスの客は、ビジネスクラスのお客様が全員バスに乗り込むまでは降りられないのだ。 

飛行機は厳密な縦社会である。多く金を払った方が偉いのだ。格安航空券の客など奴隷船である。

 

と、奴隷船の中から1人のオッさんが、通路で待つ人々を押し分けながら進み出てきた。そして、イライラした調子で「通してくれ」と CAにゴネ出した。

「乗り換えまで1時間しかないんだ、通してくれ!」

そう言い放つと、オッさんはCAの壁を乗り越えて降りようとする。

 

いざ、ヤリ手BBAの出番である。

BBACAが若CAに指示を出し、ディフェンスの壁を厚くした上で、客をひと睨みし「ノー!1時間もあれば十分です!」と無慈悲に断る。ニェットと言わんばかりの頑なさ。

「飛行機に遅れてしまう!」「ノー!」「通してくれ!」「ノー!!大丈夫だから待ってなさい!」「・・・。」

取りつく島もないとはまさにこのこと。オッさんもしつこく繰り返したが、最後はBBAに根負けして黙ってしまった。

 

ビジネスクラスの最後のお1人様がやっとお降りになると、我々エコノミーの番である。

ディフェンスCAがスッと道を開け、同時に駆け出すオッさん。バスだから走ったところで変わらないんだけどな。

BBAに「サンキュー、バイ」とお座なりに見送られながら、タラップを降りた。空気がピリッと冷えている。

バスで運ばれながら、駐機場に並んだアエロフロート機を眺めた。銀色の機体さえ、淡い色合いの太陽を反射して寒々しい。

 

入国審査には既に20人ほど並んでいた。

ロシアの入国審査は時間がかかる。気難しそうな審査官が、パスポートを隈なくチェックしたり、ルーペのような器具でビザを見たり、とにかく簡単には通してくれない。

BBA CAは何を根拠に1時間もあれば十分と言ったのか。あのオッさんは間に合ったのだろうか。

 

横の列では「Kazakhstan」と書かれた揃いの赤いジャージを着た少女達が、何やらクスクス笑い合っていた。新体操の選手だろうか、皆ぴっちりとお団子を結っている。ザギトワ系。

前に並んでいるのは、茶色の外交旅券の日本人女性。Diplomatsレーンがあるにも関わらず一般レーンに並んでいるのは連れがいるためか。(別に、混んでるんだからあっち行けとかは思っていない。)

 

そうこうするうちに、我々が並んでいたレーンが閉まってしまった。苦そうな顔をした職員が出てきて、我々、非ロシア人たちをRussian citizensの列に連れて行く。

良いのかよ?と緊張しながらパスポートを見せると、入国審査官はつまらなそうに溜息をつき、面倒臭そうにハンコを押してくれた。良いのかよ。

 

無事に入国し、次に向かうのは、シェレメチェボのBターミナルである。Bターミナルからは、国内線が発着しているのだ。

案内に従い、途中「対独戦争勝利記念日」の飾りのある動く歩道に乗ったり、電車に乗ったりしてBターミナルに到着した。全部で10分くらいか。案内は割と親切である。


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この階段を降りた先に、Bターミナル行きの電車乗り場がある。

 

しかし、飛行機の時間にはまだ早い。Bターミナル入ってすぐ、Ravlevラウンジでオヤツにしよう。我々は、Deltaの上級会員資格で入る。

 

 

Ruvlevラウンジは、とても長いフードカウンターが名物で、ロシアのベストラウンジにも選ばれたとか。国内線ターミナルなのに、ハムなどのコールドフードやスープ、パン、ケーキやクッキーなど大満足のラインナップである。甘党としては、スイーツの充実度合いがけしからん。

ワールドカップの時に作られたとのことで、まだピカピカ、トイレも清潔(モスクワは空港ですらトイレが地獄の汚さだったりする)。

 

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フードカウンターには、お酒もスイーツも充実。カウンターの長さは50メートルくらいある。

 

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写真ではわかりづらいが、玉ねぎ型の洒落たデザインである。

 

カフェラテを淹れ、ヨーグルトやクッキー、ブリヌイ、ミルク粥などを頂く。ミルク粥はほんのり甘くて好みである。私はミルク粥が大好きなのだが、スープと思って蓋を開けた時のトキメキと言ったら!まさかあんな家っぽいモノが食べられるとは。夫によると、ハムやチーズもおいしかったらしい。


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けしからんフードたち。こうして見ると、乳製品と炭水化物しか食べてない。


オヤツをガツガツ食べて1時間ほど潰し、定刻、サンクトペテルブルク行きのアエロフロートに搭乗した。

機内では、メーテルみたいなCAの美女が、無表情で安全デモをするのが圧巻であった。救命胴衣を膨らます時もピクリとも表情が崩れない。

機内食として、噛みごたえのあるサンドイッチと、小ぶりな林檎が1人1個配給された。

 

ロシアに来た。コレがロシアである。

 

続く。