GW旅行(インド、Indian accent)
インド編の続き。
今回、先が長いので、ディープインドには立ち入らず、とりあえず上澄みだけ見て満足しよう、というのが大前提である。インドの澱みで腹を壊し、旅行の間トイレに立て籠もるような事態は絶対に避けなければならない。絶対にだ!
そう、インドは感染症の宝庫と言われている。誰が言っているかって、外務省がそう言っている。お役所というのは得てしてコンサバだから、そう言うからにはそれなりに根拠があるんだろう。
私の周りでも、インドで腹を壊したという話は非常によく聞く。知人の中には、生水を警戒し、歯磨きにミネラルウオーターを使うことは勿論、シャワーを浴びる際も水が入らないように口にガムテープを貼ったという御人もいる。そこまでしたにも関わらず、彼は腹を壊したらしい。ガムテープをわざわざ持って行ったのか?という疑問はさておき、インドの菌の強さには戦慄を覚える(まあ食べ物に当たったんだろうな)。
どうせ物価も安いし、「安い美味い」より「高くて清潔」である。
というわけで、インド2日目は、まずホテルにて、清潔で美味しい朝食を取った(全部カレーだ)。
そして昼は、インドの超高級レストラン、Indian accent。コレはまあ、衛生重視というわけではなくて、ちょっと食べてみたかっただけだ。
この店、アジアのベストレストラン50入りの実力派で、2人で2000円も出せば豪華な食事ができるインドにおいて、1コース約5000円(税別)もするのだ。他にワインペアリングをつけると倍の値段となる(しかも酒は税率も高い)。
さて、高級な、最先端のインド料理とは一体どんなものだろう?全くイメージが湧かない。
日本でインド料理といえば、何はともあれカレーであり、ナンであり、激安ではないものの高級でもなく、またそれほど凝った料理でもないがウマイ。食べると力が漲り、たまに無性に食べたくなる。
一方、カレー粉というのは、どんな食材でも等しくカレー味にする魔の調味料である(どこぞのレンジャー部隊では、カレー粉のみを持ち、無人島で蛇やトカゲを狩りながら生き抜くサバイバル訓練があるとか)。高級インド料理とはいえ、カレー粉を使ってしまえば、どんな高級食材もただのカレーに堕落してしまう可能性もある。
それでは実際、どのようなものだったのか。
結論から言えば、びっくりするほど洗練されており、味の幅が広く、美味しかった。その美味さ、インド料理観が変わる程である。
チャパティのごとく平たく言ってしまえば、全てカレー味ではあるのだが、食材や調味料の使い方に気が利いており、カレーの世界の奥深さを感じさせる。そして、我々はベジのコースにしたのだが、肉を使っていないとは思えない謎のUMAMIがあった。
ついでに加えておくと、店員は皆インド風イケメンである。少しエキゾチックなセンスの良い空間で、清潔なインド人のサービスを受けるのは、少しフェチというか、プレイ感がある。
というわけで、これより写真とともに料理を紹介する。
とはいえ、インド料理リテラシーが低すぎるので、「うまい」「カレー風味」程度の貧弱なボキャブラリーでお届けすることを先に断っておく。また、使っている食材もよくわからない。一応サーブする際に、料理の説明はしてくれるのだが、その分野の単語が全くわかりまへん。
まずは前菜、ブルーチーズを丸めて味付けで焼いたやつ。ワインはロゼのスパークリング。
ブルーチーズのクセがそれほどなく、少し素朴な味。「フランスでは農家の子どものオヤツとして、日本でいうお焼きのように食べられています。」とか言われたら信じそう。うまい。
トマトのスープ
平たく言えばトマトカレースープ。なのだが、複雑な奥深い味。とても美味しい。ベジでどうしてここまで滋味豊かなのか。何を使っているのか全然わからない。
マサラドーサ
マサラドーサとは、一般的にはクレープみたいな生地にカレー味のジャガイモが包まれている、素朴な料理である。こいつは、もはや全く原型を留めていない。
フワフワとした淡い味のシロモノがレンゲくらいの大きさの匙にのり、パリパリの小麦粉系食品を振りかけてある。何か美味しい液体をメレンゲ状にしたものなのだが、またしても何を使っているのかわからない!(ベジだから卵白使えないし。)
オシャレな味。もっと食べたい。
サツマイモのソテー
長細い筒状のものがサツマイモで、赤いのは苺、まろやかなカレー味のピューレが下に敷いてある。上にバルサミコ風味のソースがほんの少しだけ振りかけてある。
この料理のポイントは苺。以外な組み合わせだが、少し甘めのカレー味に、スッキリとしたアクセントとなって美味。ほー、と唸るおいしさ。口の中が幸せである!
薄切りのジャガイモとチーズを積み重ねたラザニアのようなもの、ワインはボルドーの白。
もう上の説明だけで美味いことが容易に想像できるだろう。実際、ジャガイモとチーズは鉄板の組み合わせである。チーズはカマンベールを塩辛くしたような感じ。うまい。家で作れそう(失礼)。
ちなみにコレはカレー風味ではない。
パプリカに、甘いカレー味のソースで和えたカッテージチーズを詰めたもの。ワインは南アフリカのピノ・ノワール。
とろりと甘いパプリカと、優しい味のチーズが合う。下には、何を使っているのか不明だが、優しいカレー味のまろやかなソース。パプリカと言ったものの、大きさ的には日本で言えば熟成させたピーマンっぽい。
アミガサタケの中に、細切れにしたキノコを詰めたもの、ワインはチリのメルロー。
要はキノコ in キノコ。菌類が手を取り合ってどこまでも行けるウマさ。
キノコの旨みがぎゅっと凝縮されていて、満足感がある。これなら肉など食べる必要はない。美味しい。意外と米に合いそう。
お口直しのシャーベット
見た目に反してしょっぱい!マサラ風味の梅干し味。私は梅干しが苦手なので、イマイチだった。梅干しスキーの向きには堪らないであろうな。
平焼きパン、中にはバジルのような葉っぱ。
見たまんま、小麦粉をこねて焼いた味。葉っぱが爽やか。アツアツでうまい。ツマミ系。
あともう一枚、キノコの入った同じようなパンが付く。こちらもツマミ系。
何かの葉っぱのコロッケにスイートコーンのソースをかけたもの。ワインはキャンティクラシコ。
スイートコーンのソースは、甘めのコーンスープのような味。コロッケ中の葉っぱはペースト状になっていて、トロトロとした舌触りと衣のサクサク感、そこに絡む甘いソースがすげえ合う。子供たちの大好きな味。
ガーリックナン
ここで、少し量が足りなかったので、ガーリックナンを追加した。写真はない。
日本のカレー屋にあるドロップ型のものではなく、渦巻き状に層を作ったタイプ。ニンニクの効かせ方が上品でうまい。
デザート、左からアーモンドのフワフワした何か、アイスクリーム、何かのタルト。インドのデザートワインSulaとともに。
1番左は、カリカリのスライスアーモンドをメレンゲのようなフワフワのもので和えてあるのだが、やはり何を使っているのか不明。ガッツリ甘くてうまい。
真ん中は普通のアイスクリーム。優しいキャラメル味。
右のタルトは何故か甘露飴の味がした。原料何使ってるんだろう?これもガッツリ甘くてうまい。
最後に謎のお菓子。左上から時計回りに、しょっぱい何か、ゴマ風味のグラノーラのような何か、ドライマンゴー、謎の甘酸っぱい粒(説明になってない)
これはまあ、ちょっと独特だな。少しだけ食べて、ほとんど手をつけなかった。
右上の赤紫のお菓子だけは美味しかった。ゴマ風味のキャラメルでナッツを和えたようなもので、ポリポリかじる程に味わい深い。
これで料理が3,500ルピー、加えてワインペアリング3,900ルピー、プラス税。インドなのになかなかのお値段だが、日本でこういうタイプのインド料理は食べられないので良い経験になった。
なお、インド人店員曰く、インド料理はスパイシーだからワイン・ペアリングが難しいのだが、ここの料理はミドルスパイシーなのでなんとか合わせられるのだとか。
個人的な感想としては、ワインと料理は合わなくはないものの、とはいえマリアージュのようなものはなかった気がする。別にワイン・ペアリングは付けなくても良いかもしれない。高いし。まあ、酒を目の前にして飲まないという選択肢はなかったのだが。
おまけ。
初めて訪れたインドは、動物天国だった。
干支の動物のうち、5つ、野良犬、野良牛、野良馬、野良猿、野良鳥に遭遇した。
他にネズミはきっといるだろうし、ベンガルには虎もいるし、インドのヘビ使いというくらいだし、さらに核実験で放射線を浴びてドラゴンが爆誕するとか、まあ何言ってんだか全然わかんねえな。