GW旅行(インド入国、カレーを食べる)
計画も固まったことであるし、あとは時が来れば実行するのみである。
まず、旅行の1カ国目はインド。
デリーまで、特典ビジネスで快適な空の旅を楽しむ(JALだけど)。
ビアーとトメイトゥジュースでセルフレッドアイを楽しむ。
エサ。偏りっぷりがアヴァンギャルド。
楽しみにしていたヒマラヤ山脈が雲に覆われて見えず、ガッカリである。
そうして、我らがJAL機は、インド亜大陸を飛び越え、デリーはインディラ・ガンディー国際空港にヌルッと着陸した。
ボーディングブリッジを通り、空港に降り立つと、黄色やオレンジを基調とした内装が目に入る。雑に表現すれば、カレー色である。(いや私カレー大好きなんで)
周りを見渡せば、小ざっぱりした格好のインド人たち。シックなスーツとターバンの組合せが最高にカッコイイことを知る。
ついでに言えば、トイレが下手なヨーロッパより清潔である。
病室のように殺風景なイミグレを通り、荷物を回収して外に出ると、むっとする熱気にクラクラした。コンクリートが日光を反射し、白く光っている。
そこらにある、何者かの糞を踏まないようにパーキングエリアに向かい、立体駐車場の1階にある専用レーンでUberを待つ。気温は高いが、空気は乾燥しており、日陰は過ごしやすい。
揃いの白いTシャツを着たインド人スタッフたちが手際良く客をさばいていく。Tシャツは薄汚れていたが、皆ソフトマッチョのイケメンであった。
そのまま数分待つと、我々の車が到着した。日本では見かけない、スズキの小型ハッチバック。トランクが狭いため、スーツケースは助手席に雑に積み込まれた。
空港を出ると、広々とした平らな道路に出る。周りを見ると、圧倒的に多いスズキ車と、次に多いタタ車。擦った痕や凹みのある車が多い。
それらの車が、頻繁にクラクションを鳴らしながら走り回る。車線変更時はウィンカーは出さず、後続車をクラクションで牽制して割り込むのがインド流らしい。スピードは、直線でもせいぜい60キロだが、縦横の車間距離が異常に狭い。そりゃ擦るわ。
これでは、運転するにも前後左右気を使って大変だな、と思いつつバックミラーを見やると、角度がおかしい。運転席を向いていないのだ。つまり、後ろも見ずに突っ込んでいるのだろうが、周りも慣れたもので、ぶつかるギリギリでうまくかわしている。凄インド!(そして時々避けきれずに擦るんだろう)
慣れてくると、ちょっと快感というか、見ていてクセになる。楽しい。インド楽しいぞ。
ホテルは、高級ホテル街にあり、近づくにつれ、スズキ車が減り、トヨタ車他が増えてくる。スズキはインドで大衆車の位置に食い込んでいるのだ。
そうして我々を乗せたスズキ車は、インド的に小綺麗な道を通り抜け、五ッ星ホテル、ザ・ラリットに到着した。警備員がトランクを改めてから、敷地に入る。車を降り、手荷物検査を受け、金属探知機を潜ってロビーに入る。厳重である。
フロントのお姉ちゃんは、ミランダ・カーをインド人にしたような可愛らしい女性で、我々が1泊しかしないことに対し、大袈裟な顔をして、「インドに1泊なんてもったいない!本当に素敵なところがたくさんあるのよ!最低でも1週間は必要だわ!」と嘆いた。その仕草も可愛らしかったので、おばちゃんは「またゆっくり来るよ。」と答える他なかったわ。
部屋で荷物を整理し、外に出る。
向かうはコンノート・プレイス。あの有名な、巨大なインド国旗を見に行ったのだが、残念ながらポールには何も掲げられていなかった。
あたりをウロつく。小綺麗だが、溢れんばかりにインド人がたむろっている。通りという通りにギッシリとインド人。インドって、本当に人口が多いんだな。
インド人をかき分け、辿り着いたカレー店「KAKE-DA-HOTEL」で夕食を摂る。
それなりの高級店なので、店内は清潔で、客もキチンとした服装をしている。
これがカケーダホテルの外観でやんす。インド人が群がっている。
席に座り、ロティを7枚と、パラクパニール、サグミートを注文する。辛さは普通で。
料理を待っていると、生の玉ねぎスライスに、酢とカレーソースをかけたような料理がタダで付いてくる。辛いけど美味い。美味いが、生の玉ねぎというのは、それほど量が食べられない(なんか食ってると胃がキリキリするんだよ)。おかわりをくれたが、結局手をつけずに残してしまった。
注文した料理が続々と出される。
我々日本人は両の手を使わなければ食べられないが、隣の席のインド人は右手だけで器用にロティをちぎり、不浄とされる左手を全く使わず、ムシャムシャ食事をしている。
さすが聞きしに勝る徹底ぶり、と感心してよく見ると、しかしながら周りには左手を使っているインド人も案外いる。ステレオタイプな思い込みはヨクナイデスネ。
ちなみに、辛さは日本のインドカレー屋と同じくらい。あまり辛いのは得意ではないが、これくらいなら問題ない。激辛好きは、ちょっと攻めても大丈夫だろう。
写真上から時計回りに、サグミート、玉ねぎの謎料理(食べかけで失礼)、パラクパニール、チキンタンドーリ。
いずれも(うっかり)緑のカレーで、少し漢方臭いのが堪らない。インド式カッテージチーズ、パニールが日本で食べるモソモソしたものとは異なり、モチモチしてて非常にウマい。サグミートの肉は謎肉風味だが、おそらく山羊の肉であろう。
加えて、タンドーリチキンも頼んだが、クッキリとした形の脊椎がついていたため、グロ耐性がゼロの私はすっかり食欲が失せてしまった。もちろん味は良く、単に私が軟弱なだけである。
ちょうど飲み物が欲しくなったところに、店員のオッさんが瓶のジュースを営業に来た。2本頼むと、その場でスポスポーンと手際良く栓を抜いてくれる。「サムズアップ」という、コーラを薄くしたようなジュースだが、これが気候と料理にちょうどいい。
すっかり満腹になった我々は、腹ごなしにホテルまで歩いて帰ることにした。
腹にやけにガスが溜まる。日本で警戒して整腸剤だのヨーグルトだのを取りすぎたせいで、出国前日から腹が緩かったのだ。
もちろんレディの嗜みとして放屁は我慢していたが、力及ばす漏れてしまった、まさにその時、物売りの少年がまとわりついてきた。ちょうど私の尻に鼻が来るくらいの身長である。
何か気まずい。それなりに臭かったろうに、スッポンのようなしつこさで付きまとってくる。ふと見ると、身なりは見すぼらしいものの、澄んだ美しい目をしている。とはいえ、買うつもりは毛頭ないので、グルグルと追いかけっこをして振り切った。
空港やレストランで「上澄み」しか見ていなかった私にとって、軽い衝撃があった。このような少年たちが、経済成長の恩恵を掴み取るチャンスが来ることを祈る。
ホテルに戻ってテレビをつけると、カオジロガンの子育てについてのドキュメンタリーが放送していた。カオジロガンについては、以前何かの記事を読んだことがあった。この鳥は、外敵の少ない断崖絶壁の上に巣を作り、産卵する。しかし、そのような場所はエサになるものがないため、孵化した雛は、羽根も生えそろわないうちに、崖の上から谷底まで飛び降りるのだ。
番組では、3羽の雛が飛び降りたが、無事に谷底まで辿りついたのは1羽だけであった。とても厳しい環境だ。
決して、先に遭遇した物売りの少年と重ねていたわけではないが、幼い鳥が厳しい世界を生き抜く強さに感銘を受け、YouTubeでカオジロガンの動画を見ながら眠りについた。