ニュージーランドドライブ旅(クイーンズタウン〜テアナウ編)
2018年12月30日、上海を発った我らがNZ288便は、ヌルっとオークランド空港に着陸した。
タラップを降り、フレンドリーなイミグレを通ると、いよいよ厳しいと評判の税関だ。
私は使用済のトレッキングシューズを持ち込んでいたので、Nothing to declareではなく、Dealareに並ばなければならない。申告せずにバレると、罰金400NZDである。バカにならない。
申告用紙の細々とした項目にチェックを入れ、いざ税関職員との対決である。
今回の対戦相手はサンタクロース風。Ho! Ho! Ho!とか言い出しかねない感じの、立派なヒゲのおじさんである。
申告用紙をフムフムと読んだサンタ風おじさん、トレッキングシューズに食いつくも、「水でよく洗って、アルコホールで消毒しましたよ。」と答えると「パーフェクト!」とニコニコ通してくれた。サンキューおじさん。
そうしてテクテク歩いて国内線に乗り換える。
キウイ!キウイ!と連呼する安全ビデオに辟易しつつ、9時30分にオークランドを出発。
ニュージーランド航空NZ615便は、南島の絶景を飛び越え、晴天のクイーンズタウン空港に着陸した。
途中、上昇気流により激しく揺れ、前の席のお子様は盛大に嘔吐していた。
後で調べたところ、どうもこのルートは揺れるので有名らしい。私も着陸があと5分遅かったらヤバかった。もう少しで、ニュージーランド航空のオシャくそゲロ袋に、胃の中身をぶち込むところだったぜ。
ディスイズニュージーランド航空特製の、オシャくそゲロ袋。
クイーンズタウン空港は、立派な山々に囲まれた立地にある。まるで上高地の中に滑走路を作ったような無理矢理感はあるものの、なかなかの絶景である。
素晴らしい景色に見惚れつつ、タラップで空港に降り立つ。それにしても、タラップは良い。ボーディングブリッジの味気なさと比べたら、旅情は格別である。
国内線なので、「イミグレの行列ができる前に滑りこまないと」など気にする必要はない。目についたトイレに駆け込んだ。
スッキリした気持ちで空港近くのエースレンタカーに向かい、銀色のスバル・レガシーをレンタルした。(窓口のお兄さんがいいやつ。)
その足で向かったのは、「世界一うまいハンバーガー」ことファーグバーガーである。
世界一食べられているハンバーガーはマクダーナー社のアレであることは疑いようがない(私は期間限定グラコロが好きである)。たまに食べたくなるけど、しかしまあ、だからといって別に世界一うまくはない。
というわけで、出国前からかなり気になっていた。並ぶとは聞いていたのだが、現地に着くと恐ろしく並んでいる。行列ができるラーメン屋さん2軒分超ほどである。何はともあれ腹は減ったことだし、諦めて近くのフィッシュ&チップス屋に行くことにした。
向かった先は「エリックズフィッシュアンドチップス」、大学の美術部の新歓看板みたいな、手作りっぽいおしゃれな外観のお店だ。
コレが例のブツ。
フィッシュはブルーコッドとイカと、あと何だっけ。まあウマイ。
塩辛くてビールが欲しくなるのだが、レンタカー移動なのでグッと我慢した。主に運転するのは夫なのだが、助手席要員には助手席要員なりに仕事がある。ドライバー様が眠くならないよう、歌や踊りや小話などで楽しませなければならないのだ。責任重大。
ちなみに、チップスはクマラをチョイス。
クマラとは、ニュージーランドの地野菜、平たく言わなくてもサツマイモである。サツマイモのサツマイモ臭さを強くして、甘さを弱くした感じと言えばわかりやすいだろうか。
全然美味しそうに聞こえないが、熱々ホクホクでとても美味しい。
しかし、フィッシュの付け合わせはサツマイモよりジャガイモの方が良いかもしれない。クマラも激ウマなんだが、それはそれとして揚げたジャガタラ芋が欲しくなるんである。いや、すげえウマいんだけど。
そうして、日本で言えば軽井沢のような雰囲気のクイーンズタウンを後にして、我々が向かった先は、フィヨルドランド国立公園近くの街、テ・アナウである。
ニュージーランド国道6号線を道なりにクネクネ行くと(ナビいらねえな)、南房総のような雰囲気のテ・アナウに到着した。
本日の宿は、アルペンホーン・モーテルと言う。到着したのは、まだ18時前くらいだったのだが、既にフロントには鍵がかかっており、スタッフらしき人は誰もいなかった。
どうしようかと周りを見ると、"ペン様"と書いた封筒が、フロントの窓に雑にベッと貼ってあった。(ちょっと斜めになってた。)
シズシズと封筒を開けると「部屋は4号室、鍵はチェックアウトする時にテーブルに置いて行ってね!」と書いたA4の紙と、鍵が入っていた。
なんと無用心な!
しかも玄関のドアはガラス製。余裕で割って入っちゃえる仕様である。不安。
ていうか、テーブルに鍵置いてチェックアウトって何だ。放任過ぎだろう。
初日にして、ニュージーランドの治安の良さを実感した。出かける時に鍵を閉めない田舎レベル。
おい外務省、別に犯罪とか多くないんじゃないか。
ややガタピシする(そして簡単にピッキングされそうな)鍵を開けて入ると、部屋は古いながらも清潔であった。
何はともあれ、まずはベッドシーツを引っぺがし、マットレスを持ち上げて南京虫チェック。
綺麗である。合格。
ニュージーランドは、とにかく南京虫が多いらしい。どんなに慎重になっても慎重になりすぎることはない。虫チェックは欠かせない仕事の一つだ。
虫チェックを済ませて窓を開けると、部屋に面した庭で、白人のオニイサンが上半身裸で腕立て伏せをしていた。シュッ、シュッと息を吐きながら、とても良いテンポで上体を上下させている。
と、我々に気づいたオニイサンは、立ち上がって「ハロー」と微笑み、そのままの流れでスクワットを始めた。筋肉は裏切らない!
そうして色々面食らいつつ、近所のスーパー「カウントダウン」で牛肉(ポーターハウス)、羊ソーセージ、地野菜クマラと、これまた地野菜パースニップ、牛乳とシリアルなどを購入し、焼いたりレンチンしたりして夕食にした。
合わせるのはニュージーランド産ピノ・ノワール、デザートはキウイである。ニュージーはワインのコスパが良い。
写真がないのだが、パースニップがやたらにうまかった。見た目は白い人参なのだが、人参の青臭さはそのままに(人参好きには、この青臭いのが堪らなく良いのだ)、カロテン味をなくして甘さを強くしたような、ビンビンくる野菜感。なかなか体に良さそうな味である。
日本でも栽培してくれないものか。北海道あたりで、うまいこと育てられるんじゃないか?
そういえば、キウイもめちゃくちゃウマかった。
日本のキウイは、未熟なまま収穫して追熟でなんとかしてると思うのだが、ニュージーのキウイは、ちゃんと木の上で熟させているのではないか。
酸味がなく、かといって、だらしなくもなく、さわやかな香りが立つ。さすがキウイーランド。「我々キウイの果物だからキウイフルーツ」などと名づけるだけのことはある(後述)。
まあ、日本の酸味の強いキウイも、あれはあれで結構好きなんだけど。
地場のおいしいものをお腹いっぱい食べながら、ニュージーランドの夜は更けていくのであった。
続く。
おまけ。
キウイについて、一応Wiki先生の見解を載せておくと、
1906年にニュージーランドが新しい果樹のキウイフルーツとして、中国原産のActinidia deliciosaやActinidia chinensisの品種改良に成功、1934年頃から商業栽培を開始し、世界各国で食べられるようになった果物である。
「キウイフルーツ」という名称は、ニュージーランドからアメリカ合衆国へ輸出されるようになった際、ニュージーランドのシンボルである鳥の「キーウィ (kiwi)」に因んで1959年に命名された(果実と鳥の見た目の類似性から命名された訳ではない)。
鳥関係ねえのかよ。
もひとつおまけ。
アルペンホーンモーテルのシャワーは、温度調節がやたらにシビアであった。そのシビアさは、倍率300倍くらいの光学顕微鏡のピント合わせくらい、と言えば、わかる向きにはわかるだろう。