4Kすげえ!映画「皇帝ペンギン ただいま」レビュー
ペンギンという生きものがとても好きだ。
あの紡錘形のフォルム、白と黒のカラーリング、フリッパーのパタパタ感。もう完璧としか言いようのないデザインである。かわいい。尊い。大好き。
ペンギンがかわいくて生きるのがつらい。
そんな、正真正銘のペンギン狂としては、もちろん、映画「皇帝ペンギン ただいま」を見に行かない訳にはいかない。
そこで、公開初日にイソイソと恵比寿ガーデンシネマまで出かけていった。
まだその興奮が冷めないので、とにかく語りたい。
「皇帝ペンギン ただいま」は、2005年にアカデミー長編ドキュメンタリー賞を取った「皇帝ペンギン」の続編である。(「皇帝ペンギン」は、「童貞ペンギン」というパロディ映画まで作られた、言わずと知れた名作である。)
どちらもコウテイペンギンの過酷な子育てをテーマにしていることには変わらないのだが、前作はコウテイペンギンたちを擬人化した「ペンギン目線」の映画であったのに対し、今作は詩的なナレーションとともに「人間目線」で描かれたものである。
それ以上に差があるのは映像技術である。
とにかく映像が素晴らしい。
ペンギンたちが白い軌跡を描きながら海面を泳ぐシーンで本編が始まるのだが、空から撮影されたその映像はとても鮮やかで、始まったばかりの映画への期待感で震えた。誇張でなく、本当に身震いした。
その直後、海から氷の上に飛び乗るペンギンがアップで映し出させると、さらに興奮して涙腺が緩んだ。なんと美しい生きもの。
確かに、筋としては「コウテイペンギンモノ」のお決まりの流れであるのは否めない。予想通りのことしか起こらないのである。
しかし、想像を遥かに超えて映像が美しく、全く飽きることはなかった。むしろ、次々と映し出させる南極の絶景と健気に生きるペンギンたちから目が離せなかった。そして、ただひたすら感動し続けた。息をするのも忘れるとはこのことだろう。
映像技術の進歩は本当に素晴らしい。4K万歳。
ヒナたちのふわふわの産毛が、一本一本はっきり見える。それが風に揺れ、またヒナの動きとともに震え、手を伸ばせば触れられそうなほどの臨場感である。信じられない。
この映像の美しさが、この映画の価値だと思う。
素晴らしいのは氷の上だけではない。
深度70メートルの水中映像の幻想的なことと言ったら!
氷の下の真っ青な世界を、切り裂くようなスピードでペンギンたちが泳ぎ回る。かと思えば優雅にのんびり泳ぎ出す。
もうスバラシすぎて言葉が出マセン。
コウテイペンギンの泳ぐ姿は、南紀白浜アドベンチャーワールドで見たことはあるのだが、当然ながら水族館の小さなプールと、広くて深い南大洋とでは全く違う。
思い出してもため息が出る。
ただ、言いたいことがないでもない。
前作では、まだ卵が孵っていないはずのタイミングでヒナの頭が小さく映りこんでいたりしたが、今作でもいないはずのアデリーペンギンが画面の端に小さく映っていたりした。
しかし、そういう細かい矛盾は気にせずに、ペンギンの素晴らしさ、美しさを堪能するのが正しい姿勢だろう。ペンギンがかわいいのでオールオッケーということで。
評価は★10個。一応5個満点なのだが、ペンギンボーナスで+5である。
ちなみに、今回は字幕版で見たが、淡々とナレーションが入るだけなので、日本語吹き替え版でも構わないように思う。
むしろ、字幕に邪魔されない方がより楽しめるかもしれない。
おまけ。
公開初日ということで、先着特典がもらえた。
Instagramで大人気(らしい)のコウテイペンギンのキャラクター「ぺんた」のトートバッグである。
まあ、私も正直微妙だと思ったけど、光の速さでヤフオクに出ていたのはどうかと思うぞ。